ゼブコとダイワ…現代のスピンキャストリールの2大メーカーの製品を日常的に使っているが、どちらも一長一短あり、どちらがベストとは言い切れない。
ダイワの方が精巧で、日本人好みなメカであると思う。ただしゼブコは徹底した実用主義&質実剛健でメンテもカンタン。ダイワはフロントカップの内側もメッキにして錆びにくくしているが、ゼブコは最初から一切の塗色をせずに、フロントカップも金属そのままである。もし錆びたら研磨しろ、ということなのだろう。
長くスピンキャストリールを使っていると、やはりロッドのバリエーションが豊富なスピニングロッドを使いたくなる。すると、アンダースピン(トリガースピン)の方が使い良い…ということになる。
ところが、ダイワが日本で発売しているのは、アンダースピン80(写真左)のみであるし、ゼブコはゼブコ33マイクロ・トリガースピン(写真右)しかない。この中間のサイズが欲しい…としばらく前から思い始めた。
そこでたまたま中古で見つけたのがこちら。シェイクスピアのシナジーTi6Uというものだ。既に生産・販売はしていないが、店頭在庫はあるようだ。
スピンキャストリールのサイズ表記
スピニングリールだと、何千番台というサイズの基準があるものの、スピンキャストリールはそれがよくわからない。一般的にはハッキリと明示されてないが、一応の目安として何ポンドのラインが90ヤード巻けるのか…というのがある。
たとえば、カタログスペックを参照すると…
- ダイワ・アンダースピン80(左)……………6ポンド/103ヤード
- シェイクスピア・シナジーTi6U(中)………6ポンド/90ヤード
- ゼブコ33マイクロ・トリガースピン(右)…4ポンド/90ヤード
ダイワだけが103ヤードという中途半端な数字になっているのは日本のサイトを参照したらメートル表記で95メートルになっていたからでヤードに直すとこうなってしまう。大体8ポンドで90ヤードぐらいで見ていればいいだろう。
私個人は、この90ヤードで巻けるポンド数でダイワ・アンダースピン80なら8番、シェイクスピアなら6番、ゼブコ33マイクロなら4番と区別している。ゼブコ33プラチナなら10番だ。
日本で一般的に販売されている6番サイズのスピンキャストリールは数が少なく、あるとすればこのシェイクスピア系になってしまう。但し、シェイクスピア系は並行輸入品がほとんどだ。いろんなスピンキャストリールを使い込む内に、サイズ4番では小さすぎ、サイズ8番では大きすぎ…と思っていたが、6番あたりが一番汎用性も高く、手にも合って使いやすいのだ。
それと、シェイクスピア系のスピンキャストリールは型式名が「Ti6U」「Ti10U」のようになっており、90ヤード巻けるラインのポンド数をもってサイズ表記にしているようだ。
※「シェイクスピア系」と書いたのは、フルーガーやバスプロからも似たような形状の色違いみたいなスピンキャストリールが販売されているからである。ただ、フルーガーもバスプロも実機は手にしたことがないので正確なところはわからない。たぶん中国のどこかの工場で作っているOEM製品でブランド名だけ変えているのではないかと想像しているのだが、これは今後実機を入手して確認しようと思う。
優れた設計思想のシェイクスピア
シェイクスピアのスピンキャストリールの素晴らしさは設計思想にある。リールフット側から見た写真をよく見るとわかるだろうが、全長でいえばゼブコ33マイクロより小さい。シェイクスピアはリールフットの真ん中を少し削っており、些細ながら軽量化もしている。
しかし、シェイクスピアのハンドルノブ(中)は最も大きい。右はダイワ、左はゼブコ。
ハンドルノブは大きいだけでなく質感がよくて持ちやすい。
コンパクトなボディながらアンチリバースも装備。この真反対にベイトクリッカー(ラインアウトアラーム)のスイッチもついている。
ドラグも結構使いやすい。クリックストップもあり、回すとクリック音も鳴る。
クラッチのトリガーも大きくて使いやすく、湾曲しているので操作もしやすい。
開口部はチタンコーティング。
面白いのはフロントカップの内側はプラスチックであること。開閉がやりやすく、内側が錆びにくい。ダイワは内側もメッキで錆び対策をし、ゼブコは単なる金属で錆びてもサンドペーパーで削ってやればすぐに錆びが落とせるようにしているが、各社対応が違ってて面白い。
ピックアップピンはダイワのようには回転しないがチタンで2つある(ダイワは1つしかない)。スピナーヘッドはメッキになっているのでラインが触れる際の感触も悪くない。これについてはヤスリがけの必要がない。
スピナーヘッドを横からみるとこんな感じ。
不思議なことに、シェイクスピア・シナジーTi6Uには見えるところにネジが見当たらない。どうやって分解するのかといえば…
このハンドルを止めているパーツを回してやればリールの駆動部と外装が分離する。
メンテも楽ちんな設計になっている。
ダイワのような精密感もないし、ゼブコのような質実剛健さもない。
でも、コンパクトで手に馴染みやすく操作しやすく分解しやすい。小さく出来るところは小さく、軽くできるところは軽く、よく使うハンドルノブとクラッチレバーは大きく…シェイクスピアのリールは非常に合理的なのだ。
少し使っただけで、すっかり気に入ってしまった。
ラインはラパラの6ポンドにしました
ラインはラパラの6ポンドにした。ラパラのナイロンラインは素材が高強度で1.2号の太さでも6ポンドだ。
一般的にナイロンラインは4ポンドなら1号、6ポンドなら1.5号、8ポンドなら2号が相場だが、ラパラはご覧のように少し細いのだ。
シェイクスピアTi6Uに6ポンドの1.2号を100m巻いてやったら、ちょうどピッタリだった。
果たしてシェイクスピアTi6Uはどれぐらいの大物を狙えるのか…チャンスを見て、限界に挑戦してみようと思っている。